誓いのフィナーレ

って、全然<フィナーレ>と違いますやん。このあとも続く気まんまんですやん。

…というのは置いといて。映画は、とても面白かった。

 

 

本作は2期にわたるテレビシリーズ(+総集編映画2本)と、スピンオフ作品としての『リズと青い鳥』という、過去の歴史を踏まえての完全新作なので、これまでを丹念に追いかけてきた人と全くの初見では生まれる感想も自ずと異なるものになるだろう。

1本の単体映画として観ると、少々説明不足な点がある気がする。そうでなくてもエピソードが盛りだくさんなので、駆け足気味なのは否めない。例えば、新入生のみっちゃん・さっちゃん。周囲の人に対する接し方、態度が正反対なのはよく伝わったけれど、肝心の二人の「技量の差」については登場人物たちによるセリフでしか説明がなかったように思う。片方が吹きこなすのに四苦八苦しているそばで、もう片方がさらっと難しいフレーズを…的なシーンを一瞬はさむだけでも印象が違ったのではなかろうか(わたしが見逃していただけかも、だけど)。

劇中のスパンとしては新入生の入部から関西大会までで、途中にサンライズフェスティバルや合宿までも入ってくるので、本来ならテレビシリーズと同じく12〜13話数でじっくり語られてもおかしくないのだけれども、かといって馬鹿正直にそのままシリーズ3期としてやったらそれはそれで中だるみするんだろうなあ。なので映画でぎゅぎゅっとコンパクトにまとめたのは正解だと思う。ただ、それでいて過去のメインキャラ・サブキャラそれぞれにしっかりセリフも与えているから余計に「詰め込んだなあ」という印象が(正直なところ、チューバの3年生カップルにあそこまでセリフがあるとは思ってなかった)。

部員ひとりひとりをしっかり描きたい、という制作側の意図は理解できるものの、今回の物語は「問題多き」1年生部員と久美子先輩の関係を描くことが主題なんだろうから、もっとバッサリ刈り込んでも良かったかも知れない…

 

…などと言いつつ、第一印象としてはこれまでのユーフォシリーズの中でいちばん好き。登場人物の誰にもそれぞれ感情移入しやすく描かれているように感じた。ここぞというところで挿入される過去のシーンがうまく作用していて、ストーリーに奥行きの深さを感じさせるのもしみじみ良かった(…なので、過去作品を知らない人にどう映るかはわたしにはわからない)。

 

とまれ、「次の曲」こそ全シリーズを通しての本当のフィナーレになるはずだし、気が早いけれどもそれが今から待ち遠しくってしょうがない。原作の前編は発売されたばかりだけれども、わたしは後編が出る6月まで待って、一気に読むつもり。

楽しみだあ。

 

2019年/石原立也監督作品/京都アニメーション