串田孫一さん…

著書300冊以上、哲学者で詩人の串田孫一氏死去(読売新聞)

 哲学者で詩人、随想家、日本を代表する教養人の串田孫一(くしだ・まごいち)氏が8日午前5時30分、老衰で死去した。89歳。
 告別式は10日午後1時、東京都台東区西浅草1の7の19清光寺。自宅は小金井市緑町1の4の34。喪主は妻、美枝子さん。

 東京生まれ。東大哲学科卒。山と音楽を愛し、「山のパンセ」など平易で含蓄のある詩的なエッセーをはじめ詩、小説、人生論、哲学書など著書は300冊以上。名文は教科書でも親しまれた。1958年に詩人尾崎喜八と山岳雑誌「アルプ」を創刊、編集した。65年、東京外語大教授を定年前に辞め、同年始めたラジオ番組「音楽の絵本」は94年まで1500回続いた。
 自然との対話・思索を日課とし、「人間が自然を征服したり保護したりできると思うこと自体が高慢で滑稽(こっけい)だ」など多くの言葉を残した。長男は劇作家の和美(かずよし)さん。
 哲学者・中村雄二郎さんの話「パスカルモンテーニュなどフランスのモラリストに関心が高く、自身がモラリストだった。山登りや植物の栽培をしながら、生活の中で考える本当の意味での哲学者だった」[読売新聞社:2005年07月08日 20時16分]

今の時代、「老衰」で終われるというのは、まことに幸福な人生ではないか。
長いあいだ、お疲れさまでした。御霊の安らかならんことを。