2017-01-01から1年間の記事一覧

ドキュメンタリー映画2本

Cocon烏丸の京都シネマで、2本続けて観てきた。・新世紀 パリ・オペラ座 2017年フランス/ジャン=ステファヌ・ブロン監督 ・パッション・フラメンコ 2016年スペイン/ラファ・モレス、ぺぺ・アンドレウ監督『新世紀〜』の方はパリのオペラ座をまるごと捉えた…

Loving Vincent

■ゴッホ 最期の手紙 2017年/イギリス・ポーランド ドロタ・コビエラ監督/脚本 フィンセント・ファン・ゴッホが死んだあと、弟テオに送るはずだった手紙が一通、遺されていた。生前親しかった郵便配達人ジョゼフは、その手紙を届けるよう息子アルマンに命じ…

みちづれはいても、ひとり

寺地はるな著/光文社/2017年10月初版 思春期のころのもやもやした妄想だとか漠然とした不安、その裏返しのような根拠のない万能感。そういうものを「中二病」と呼ぶのなら、アラフォーのころの「もやもや感」はなんと呼べばいいんだろう。若さが徐々に失わ…

ポリーナ、私を踊る

2016年フランス/ヴァレリー・ミュラー&アンジュラン・プレルジョカージュ監督原作のバンド・デシネはずいぶん前に読んだきりで、けっこう細かいところは忘れていた。このエントリを書き終わったら読み返します。 おっ、と思ったのは、巻頭間もない、まだ幼…

理想的な“劇場版”

劇場版響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜 2017年/京都アニメーション制作/小川太一監督 テレビシリーズ2期全13話のうち、後半のエピソードを中心に再構成した総集編…なのだけど、新規カットが大幅に加わっただけでなく、時系列も大胆に再構築し、…

The SECRET of KELLS

ブレンダンとケルズの秘密 トム・ムーア監督作品/2009年/フランス・ベルギー・アイルランド合作 関西初日、大阪・梅田で吹き替え版と字幕版を連続して観てきた。いやあ、面白かった。 アイルランドの国宝「ケルズの書」の成立にまつわる神話的エピソードを…

有頂天家族2

ずいぶん駆け足だったなあ、というのが第一印象。2クールとまでは言わないが、せめてプラスもう1話、つまり全13話くらいにはならなかったものか。なんだかダイジェスト版を観ているようで、せっかくの原作が少々もったいない気がした。絵はキレイだし、声優…

TAP THE LAST SHOW

2017年東映/水谷豊監督作品 “古き善き”を濃厚に感じさせつつも、現代風に仕上げられた映画だった、という第一印象。ストーリィ自体は王道というかまあぶっちゃけベタなもので、特に出演する若きダンサーたちのそれぞれのバックグラウンドのあたり、やや取っ…

今日のハチミツ、あしたの私

寺地はるな著/角川春樹事務所/2017年3月初版読後のモヤモヤがいまだに晴れない。うーん。 発売後すぐに読み始めたはいいものの、全体の1/6あたりで引っかかってしまい、しばらく放置していた。先日まとまった時間が取れたので(具体的には出張中の新幹線…

夜明け告げるルーのうた

2017年/湯浅政明監督作品 事前情報をできるだけ避けて(それでも人魚の女の子が出てくるお話しだ、ということは知らされてしまったが)封切りを楽しみにしていた作品。先月の『夜は短し歩けよ乙女』もたいへん素敵だったが、こちらも実にチャーミングだった…

ムトゥ 踊るマハラジャ

1995年インド映画/K.S.ラヴィクマール監督作品日本公開が1998年、ビデオソフト化がその翌年。わたしは劇場ではなくレーザーディスクで観たはず。1999年というと、えーと18年ほど前か。かつて持っていたディスクはけっこう早い時期に手放して、最近ブルーレ…

夜は短し歩けよ乙女

2017年/湯浅政明監督作品いやあ面白かった。や、原作風に言うなら“オモチロかった”、かな。 TVアニメ『四畳半神話大系』が好きで好きで、一時はDVDを毎晩欠かさず観ていたくらいだったので、その時のスタッフ再集結というこの映画はなにを置いても観に行か…

ヨーヨー・マと旅するシルクロード

原題:The Music of Strangers/2015年アメリカ映画/モーガン・ネヴィル監督作品 “ワールドミュージック”という言葉自体は1960年代に造られたものだそうだが、レコード店などで頻繁に目にするようになったのは1982年にピーター・ガブリエルが<WOMAD(World…

明日のアー/猫の予想未来図II

京都・元立誠小学校にて観劇。前回「ふたりのアー」に続く第二回公演の関西公演。前回よりもそれぞれの演目が長めで、その分笑いどころが少なくなったように感じた。シュールな設定や話の持って行きかたは相変わらずなんだけど、ネタがちょっと微妙なのが多…

LA LA LAND

2016年米映画/デイミアン・チャゼル監督・脚本とりあえず、長い(128分)。あと15分くらいはカットできたんじゃなかろうか。 映画館で予告編を何度か観ていたこともあり、だいたいの出来具合は予想していた。まあアカデミー賞だなんだと公開前からメディア…

エゴン・シーレ 死と乙女

2016年オーストリア・ルクセンブルグ映画/ディーター・ベルナー監督・脚本作品 映画館に貼ってあった一枚の予告ポスターに惹かれて観に行った。以前観た『黄金のアデーレ』みたいにひと捻りしているのかと予想していたんだけれども、まさかこんなに本格的な…

雑記

登場人物のリアリティ、ということでふと思い出した。年明けからずっとサラ・イイネス『大阪豆ゴハン』全12巻を再読していて、ああやっぱこれはこの人の最高傑作だよなあ、『誰寝』も悪くなかったけどやっぱ『豆ゴハン』だよなあ、でもこの漫画のどこがどう…

月のぶどう

月のぶどう/寺地はるな著/ポプラ社/2017年前作『ミナトホテルの裏庭には』から約一年、書き下ろし長編としては3作目にあたるはず。 大阪府下の架空のワイン醸造家を舞台にした物語で、今作も登場人物のそれぞれがそれぞれにくっきりと立っていて、面白か…

捲土重来

この春から、森見登美彦原作のテレビアニメ『有頂天家族』の続編がはじまる。つい先日、下鴨神社にて関連イベントがあったそうだが、平日なのでわたしは当然行けてない。なんでも同作品が京都市の「京都特別親善大使」第1号に選定されたということで、そのイ…

Super Folk Song ピアノが愛した女。

坂西伊作監督作品/1992年/ソニー・ミュージック・エンターテインメント/日本矢野顕子のレコーディング風景を撮ったドキュメンタリー映画。25年ぶりに『デジタル・リマスター版』と銘打っての劇場公開だ。 もっとも、わたしは25年前は映画館では観ていない…