2016-01-01から1年間の記事一覧

神聖なる一族24人の娘たち

2012年/ロシア/アレクセイ・フェドルチェンコ監督作品 モスクワからおよそ640キロほど東にあるマリ・エル共和国。その独自の文化的特質をふんだんに取り入れたファンタジー…いや、ドキュメンタリー?…ではないな。「説話」とか「民話」という語の方がしっ…

この世界の片隅に

片淵須直監督作品/2016年 こうの史代原作の同題の漫画作品のアニメーション映画化として、封切り前から話題になっていた映画。公開初日の朝一番の回に出かけた。もともと上映館が少なかった(関西では梅田のシネルーブルくらいじゃなかったっけ)のだけれど…

ラサへの歩き方

2015年中国映画/チャン・ヤン監督作品いちど映画館に足を運ぶと近日公開のチラシや予告編なんかで新しい作品を知り、それを観に行くとまた新しい映画が…ということで、ここんとこほとんど毎週のようにどこかしらの映画館に出向いている。この作品のチラシを…

SULLY

2016年アメリカ映画/クリント・イーストウッド監督作品外国映画の邦題にセンスがないとかなんとか、定期的にネットでも話題に上ることがあるけれど、この映画の場合は『ハドソン川の奇跡』という邦題以外にいいタイトルは思いつかない。つーか、この原題で…

パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト

2014年/スペイン映画/クーロ・サンチェス監督作品パコ・デ・ルシアの名前をはじめて聞いたのは—おそらく多くの日本人がそうであるように—アル・ディ・メオラとジョン・マクラフリン、そしてパコとのユニット<スーパー・ギター・トリオ>だった。地方都市…

むかしばなし

遠い遠い、昔の思い出。 映画『聲の形』で聴覚障害者についていろいろ話があるようだが(映画に字幕がないこととか)、わたしがごく個人的に思い出していたのは、また別のことだった。不幸な事故により下半身不随になり車椅子生活を余儀なくされた方が大学時…

超高速!参勤交代リターンズ

2016年/本木克英監督作品2014年に公開された前作『超高速!参勤交代』も観に行ってるが、クライマックスのド派手な大立ち回りが気に入らず、ここで感想文も残していない。肩の凝らない娯楽映画とはいえ、あそこまで無茶な展開にする必要があったのかなあ、…

聲の形(こえのかたち)

2016年/山田尚子監督作品原作は(最初の短編含め)いっさい未読。そっか、これ、少年マンガが原作なんだよな。西宮さんというより、なにより石田くんの救済の物語だったんだ。 17日の舞台挨拶パブリックビューイング付き上映会に出かけた。わたしが行った会…

SONG of the SEA

2014年/アイルランド・ルクセンブルグ・ベルギー・フランス・デンマーク合作/トム・ムーア監督作品 アイルランドの伝説をベースにした物語。絵も音楽も素晴らしく、93分間があっという間だった。 日本製のアニメーションは、これは最近の流行なんだろうけ…

君の名は。

2016年/新海誠監督作品新海作品というと『言の葉の庭』がネットでの評判がよかったので、昨年だったか一昨年だったかにDVDを買い求めたことがある。しかし、帰宅して大いにわくわくして見始めたものの、あまりに陰気くさいハナシだったので最初の20分くらい…

桃太郎 海の神兵/くもとちゅうりっぷ

デジタル修復版ブルーレイディスク購入(松竹/SHBR-0384/2016年)。 アニメーション作品としての完成度の高さだけは古くから良く知られていて、ただ太平洋戦争中の国策プロパガンダ映画だったため長らく一般の目に触れる機会がほとんどなかった「桃太郎 海…

シン・ゴジラ

2016年東宝/監督・特技監督=樋口真嗣/脚本・編集・総監督=庵野秀明 わたしがゴジラ映画を映画館で観るのは親にねだって連れて行ってもらった小学生以来だから、ン十年ぶりになる。大人になってからDVDで観たのは1954年公開の初代版と、ローランド・エメ…

WAT世界のアニメーションシアター2016

公式サイトはこちら→http://www.wat-animation.net/同じ立誠シネマでAプロ・Bプロ両方を観てきたので、こちらも感想を残しておく。 Aプロが<いろいろな愛のかたち>を描く5作品、Bプロが<社会的視点をもつ>5作品。アニメーションとはいえ子ども向けのもの…

せいしゅんひゃきろ

平野勝之監督作品/2016年/制作・配給:本中(R-18指定) ※「せいしゅんひゃきろ」というひらがな表記は映画チラシ掲載に準拠立誠シネマにて監督のトークイベント付きで鑑賞。トークの冒頭で、「監督と主演女優がお互いに全く興味ない」と言って笑わせてい…

リニアの駅

朝日新聞デジタル:リニア中間駅は奈良 JR東海「京都だとカーブきつい」 http://www.asahi.com/articles/ASJ6865HLJ68OIPE02F.html山田京都府知事はどうしても京都市に持って来たいようだけど(京都経団連の意向が大きいと思うけど)、むしろ府最南端を活…

殿、利息でござる!

2016年/中村義洋監督作品タイトル、およびキービジュアルからてっきりドタバタコメディかと思ってたら、意外にシリアスなドラマだった。実話がベースになっていることから同じ松竹映画『超高速!参勤交代』(まさか続編が作られるとは思ってもみなかった)…

海よりもまだ深く

2016年/是枝裕和監督作品そういえば、最後までタイトルって出て来なかったような。見落としたのかな。 映画はいきなり始まる。一切の前触れもなく。日本のどこにでもあるような他愛のない母娘の会話が、狭い部屋で彼女たちがこれまで過ごしてきた時間の長さ…

The FINEST HOURS

2016年米映画/クレイグ・ギレスピー監督実際にあった海難事故を元にした映画。冬の嵐に見舞われた1952年2月18日、マサチューセッツ州沖を航行していた巨大タンカーがまっぷたつ。船長らがいた船首はすぐに沈没したが機関手らがいた船尾側はなんとか洋上に残…

ミナトホテルの裏庭には

寺地はるな著/ポプラ社/2016年著者2作目の小説。デビュー作『ビオレタ』(第4回ポプラ社小説新人賞受賞作、2015年)は半分くらい読んでその先がなかなか進まなかったんだけど(なので未だに読みかけのままだ)こちらは気分よくすっと読み終えられた。なん…

アー

忘れないうちに、こちらも覚え書き。『ふたりのアー』asu no ah 第一回公演 本公演は昨年秋に東京で行われたもので、わたしが見たのは追加公演的な扱いになるのかな、初の関西公演でもあるのでまあどうでもいいんであるけど、京都市中京区の元立誠小学校跡地…

火星の人

2015年米映画/リドリー・スコット監督作品 そこそこ長いわりに地味な映画ではある。けれども要所要所で手に汗握り、時に涙し、時に笑った映画でもあった。宇宙空間にただ一人取り残されたという設定では記憶に新しいところでは『ゼロ・グラヴィティ』があっ…

恵方巻と私

はじめて「恵方巻」なるものを知ったのはいつだったか、今となっては全く思い出せない。 「節分には巻き寿司をがぶっとやるんやで」「え〜、なんやそれ、ヘンなの」 級友とそんな会話をしていたような気もするから、そうすると小学生か中学生の頃か。とはい…

街の本屋さん

↓を読んだ。 http://magazine-k.jp/2016/01/18/horibe-atsushi-interview-02/一乗寺の恵文社も、この誠光社も、自分のふだんの生活圏ではない。せいぜい「気が向いた時にたまに訪れる」程度だ。ついでに言えば誠光社店主がおそらく参考のひとつにしているは…