文化記録映画 春画と日本人

大墻敦監督作品/2018年

 

2015年に永青文庫で開催された『SHUNGA』展の記録を軸に、なぜ春画が日本国内でタブー視されてきたかを丁寧に語りつなぐドキュメンタリー。

ムック本や画集はそれまでにも多数出版されていたのに、なんで美術館・博物館での展示がほとんど見られなかったんだろう…という疑問は、わたしも永青文庫に足を運んだときの感想文の中で触れているけれども、その問いに対する答えを、4年越しに教えてもらったような気がした。

1年半かかった、という編集が見事で、90分近くの上映時間のあいだ、退屈さを感じる暇がない。食い入るように画面を見つめていた。多くの関係者が語るひとことひとことが本当に貴重な証言で、また、永青文庫で大勢の人にもみくちゃにされながら見て回った記憶も鮮やかに蘇ってきて、隅々までたいへん感慨深かった。これぞまさしく「文化記録映画」であり、映像に残してくれてありがとうございましたという感謝しかない。