「歌唱禁止」は成立するか

おふくろさん歌唱禁止にJASRAC困惑

 歌手森進一(59)に作詞家川内康範氏(87)が、自作品の歌唱禁止を突きつけている問題で、音楽著作権を管理するJASRAC日本音楽著作権協会)に、川内氏から正式な申し入れが届いていないことが5日、分かった。役員に対して歌唱禁止を訴える私信は2通届いているが、正式な申告ではなく協会内で議論できない状態になっている。また、仮に著作権の侵害をめぐる裁判になった場合も長期戦は避けられないという。

 「おふくろさん問題」はJASRACも戸惑わせている。川内氏は4日、「森が私のすべての作品を歌うことは禁止するとの申告を届けてある」と、マスコミに対して文書で告げた。同協会によると、確かに先月末から役員に対し、川内氏から歌唱禁止を訴える2通の手紙が届いた。しかし、それはあくまで私信であって、正式な申告とは認められなかった。

 川内氏も森も同協会のメンバーだ。「円満解決を望む立場が大前提」という同協会だが、著作権の信託を受けている川内氏から正式要請があれば、歌唱禁止の是非について議論しなければならない。著作権等管理事業法には「正当な理由がなければ、取り扱っている著作物等の利用の許諾を拒んではならない」(第3章第16条)とある。つまり、現在は森の歌唱を許諾しているが、川内氏から正式な申し入れがあれば、訴えが正当かどうかを、判断することになる。

 現段階では正式に手続きしたという川内氏の“勘違い”から、議論にもなっていない。しかも、前例のない事態に、協会内でもどう手順を踏むべきか、手探り状態にあるようだ。

 第3者による事態収拾の判断もしばらく棚上げになりそうだが、渦中の森は恩師の許しを得るまで川内作品を封印する覚悟を決めている。青森在住で、東京に滞在していた川内氏は、この日早朝に大阪へ向かった。数日間は現地に滞在する予定で、しばらく森と接する機会はない。名曲「おふくろさん」が、しばらく宙に浮いてしまう。

[2007年3月6日7時50分 紙面から]

まー、こういうこともあるんで「著作権」の管理を第三者団体に委託するってのはやっぱ不便だと思うんですね。いや基本的には他人任せが「ラク」なんだから管理団体が存在するんだろうけど、反面、細かな融通もきかないわけで。
カスラックだのなんだの悪態ついてる消費者がわからだけでなく、こういうふうにいろんな方面からさまざまな問題があぶり出されてくるといいですね。大きな団体というのはたいてい小回りが利かずなんにつけ後手後手にまわりがち。今回の「おふくろさん問題」のようなイレギュラーな問題にどう落としどころを見つけてくれるのか、ちょっと注目しておこうっと。