イラストの安西さん

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140324/k10013201051000.html
ニュース詳細
イラストの安西水丸さん死去3月24日 17時40分

小説家の村上春樹さんの作品の挿絵などで知られるイラストレーターで作家の安西水丸さんが、今月19日脳出血のため亡くなりました。
71歳でした。
(後略)

ニュースタイトル、「イラストの安西さん」に違和感を持った。そこは「イラストレーター」だろ、と。
見出しだから極力短めに、という工夫の一環なんだろうか? それにしても、ねえ。


「テニスの錦織選手」や「野球の田中投手」なら違和感はない。でもこういう場合だってちゃんと名前のあとに「選手」と付けてるもんなあ。付けないなら「テニスプレーヤーの錦織さん」「野球選手の田中くん」となるはずだ。
名前に付けるのが職業名ではない場合というのは、たとえばライブハウスで「えーそれでは、バンドのメンバーを紹介するぜ。まずギターの○○!(キャー)」とかだろうか。ジャンルが自明のものとしてその場の共通認識が成立している上での、担当パートやポジション紹介、そういう場面なら<プレイヤー>を省略するのはあり得る。だから野球場で「一番、サード○○」ってウグイス嬢がコールするのもまったく正しい。「バンドメンバーを紹介します。まずミュージシャンの○○くん」などというMCをしたら全員がずっこけることを想像すると、上のニュースの見出しの変さがわかるだろう。
同様に、音楽番組などで楽曲名のあとに「作詞 ○○、作曲○○」と紹介が入るのもOKだろう。あくまで楽曲が主役で、作詞家や作曲家はその「中の人」だからこれでいいのだ。同じように小説やエッセイで「作・村上春樹/イラスト・安西水丸」という書き方もまったく問題ない。



しかし、上のニュースは亡くなった安西さんその人が主題である。そういう時は、きちんと「職業名」を付けなければダメでしょう。
そこらの三流サイトの文章ならスルーするんだけど、これ、NHKのニュースサイトの記事だからねえ。日本語の乱れとかそういうんじゃなく、ごく論理的に考えて意味の通らない書き方は、たとえ見出しであっても(というか見出しだからこそ)付けちゃダメだと思う。
「画家」「歌手」「作家」など漢字2文字で処理できる職業ではないとはいえ、「レーター」というたった4文字すら惜しむのなら、いっそ「イラストの」の5文字も省いて「安西水丸さん死去」だけにした方がよっぽどいい。安西さんの名前を知っている人ならそれだけで大ニュースとして通用するし、なんというか、見出しがシンプルな分、速報性がより高まる気もする(もっとも、他のニュースサイトに比べてNHKのこの記事はまったく速報なんかではないのだが)。人物紹介はどのみち本文でじっくりやればいいことなんだしね。