とある書店

先日、久しぶりに梅田周辺に遊びに行った。最近あまり出かけることが少なくなったので、いい機会だと思いいくつか買い物と、新しいお店も見て回ろうかなと。買い物に意外に手間取って、結局あまり見て回れなかったけど。
JR大阪駅北側、かつてJR三越伊勢丹が入っていたビルが、ルクアの新館としてリニューアルしたのは知っていたんだけど、入るのは初めて。9階に蔦屋書店が入ってる、というのでとりあえずそこだけ見て来た。他のフロアはまた次の機会に。
 
代官山の蔦屋書店もいつか行かなきゃとか思っているうちに大阪にも同じコンセプトのショップができたのでもう代官山まで行かなくてもいいのだろうか。まあ路面店とビルのテナントじゃいろいろ雰囲気とか違うのかもしれないけど。

で、蔦屋書店に限らず、こういう感じの(本だけでなく雑貨も売ればカフェもある)書店ってけっこう増えている印象があるんだけど、基本的にはわたくし、その手の書店はあまり利用したくない。
理由はいくつかある。まず、本が探しにくい。次に、気が散る。そして、やたら広い店が多いので、疲れる。
目当ての本が探しにくいというのと気が散るというのは「本屋さん」としては失格だろうと思う。こちとら本が見たくて来ているのだ。あたり一面本しか見えないような、そんなストイックさを望むのは間違っているだろうか?なのにこの手の書店ときたら、壁には綺麗にライトアップされた「本」だとか、フレームに入った「写真」「アートポスター」だとかが並べてディスプレイされてたりする。棚を見ると文具なのか何なのかよくわからん雑貨類がこれまた小綺麗に並んでいる。カフェが併設されているので、さっきからずっとコーヒーのいい匂いがフロア中に広がっている。
「本」をテーマにしたセレクトショップ。そのコンセプトはまあ、いいとしよう。いやよくないか。本屋にきてなにが悲しくてコーヒーのニオイを嗅いでいなきゃならないんだ。コーヒーのみたかったら喫茶店に行くし。
この手のショップって、本がアクセサリーというか、「知的な自分」を演出する小道具としてしか扱ってなさそうな感じがぷんぷんする。だから苦手なんだろうな、きっと。
蔦屋といえばいくつかの自治体で図書館運営に関して話題になっている。どんな棚なのか全く知らないんだけど、ふつうに売るための本屋さんでもこれだけのわかりにくい陳列&本が脇役になってるショップを運営していて、もしもこのノリをそのまま図書館に持って行かれたんじゃたまったものではないな…とは思う。
梅田の蔦屋書店にしても、子細に見ていると(たぶん)他ではあまり見つけられない、良い本を置いていたりもするんだけど、そのためにはまずこの書店特有の世界観になじんでいかないといけない。これがけっこうしんどい作業なのだ。

もっと小規模で個人経営のお店ならば「本と雑貨のセレクトショップ」というコンセプトは許される。許されるというか正解のひとつだろう。三坪とか五坪とか、そういうごく小さいお店で隅々にまで店主の美意識が染み渡っているような、そんなお店ならもっと増えて欲しい。しかし、それをこんな大規模なフロアで、大資本が、全国チェーン展開的な勢いでやられることにどうやら思い切り抵抗がある…のかもしれない。じゃあビレヴァンはどうなのさ、と問われるかもだけど、あそこは本やマンガの比率が少なめでしょ。あくまで雑貨屋のなかに本も少し置いてる、ってイメージなので、あまり気にならない。

たまたま蔦屋ばっか例に出してるから蔦屋の悪口みたくなってしまったけど、他にも「わかりにくいおしゃれ本屋」はある。サードウェーブだかなんだか知らんけど、ともかく新しめのオシャレ系ブックストアはやっぱあまり好きになれんな、ということを再確認した次第。近所にそこしかなかったら、こちらも腹を括って徹底活用してやるけど、そうじゃないんなら積極的に通おうとは思わない。そういう感じ。