売れてるそうで

まだ買ってないや。そういや、子供の頃には夢中で読んだなあ。

 同社には4月、米のインターネットサイトで募った約100人の署名をつけ、「絵や書名がある特定の時代の反黒人感情を反映し不快」とする販売中止要求のメールが届いたという。直接の抗議は1件だけで、同社の井上富雄社長は、「米の政界やスポーツ界で黒人が活躍する今日、この本で日本人が差別的感情を持つとは思えない」と話す。
 
 88年当時の絶版騒ぎは、黒人をステレオタイプ化した商品が日本で売られているとの米ワシントン・ポスト紙の批判記事が発端で、日本大使館への抗議も寄せられた。今回、海外メディアでは米ロサンゼルス・タイムズ、英ガーディアンの2紙が復刊を報じたが批判的論調は見られない。
 
 LAタイムズのブルース・ウォレス東京支局長は、米国内でも批判が少ない理由について「当時は、経済摩擦など日米が緊張関係にあった。今とは時代背景が異なる」と指摘。記事中では、90年に長野市が「さんぼ」の破棄を学校や家庭に求めた背景を、冬季五輪誘致中で国際的評判に敏感だったと解説した。
 
 絶版後、差別と表現の自由を巡る議論がたびたび行われ、99年にはバンナーマンの絵を使ったオリジナル版が径(こみち)書房から刊行された。この本の訳者、灘本昌久京都産業大教授は「オリジナル版があるのに、海賊版的な米国版の本を切り張りして作った岩波版の復刊は、歴史を逆戻りさせる」と疑問を投げかける。
 
 また、岩波書店は、本の版面をほぼそのまま使ったのは編集著作権を損なうと瑞雲舎に抗議。「さんぼ」の名称自体が蔑称(べっしょう)とした当初の判断は変わらないという。
 
 17年の歳月を経た復刊は読者を引きつける一方、大きな批判は生んでいない。その落差は、性急な絶版騒ぎとは何だったのかを問い直しているように思われる。
 
(2005年9月13日 読売新聞)

 
まあ、ひとの意識は時代とともに変わりゆくってことでしょうかね。そもそも、たいていの場合「タブー」も「常識」も未来永劫不変でいられるワケがない。
ていうか、17年前の絶版が(充分な議論も尽くされないまま)やたらドタバタと慌ただしすぎただけのことではないかとも。
 
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