エメリッヒ版ゴジラ

そういえばDVDを数日前に観たので、思いついたことをメモ。
もともとわたしは怪獣映画に一切の思い入れはなく、この作品も公開当時は完全に関心の外だった。評判が悪いらしいとの噂は聞いたけれども、だからといって何を思ったわけでもなく。
今ごろになって観たのはほとんど偶然みたいなものだけど、おなじく公開後ずいぶんたってからDVDを購入した『クローバーフィールド』が面白くて、実はこの映画からの影響も少なからずあるようだ…と聞いたから。エメリッヒ版の大不評のおかげで、ハリウッドで怪獣映画が作りにくくなり、『クローバー〜』の製作もそのせいで遅れた(だか予算が減っただか)とも聞いたけれど、そのへんの真相のほどは何も知らない。
なるほど、『エメ版ゴジラ』と『クローバー』は似たようなシーンが出てくる。なにより、大都会に突如現れた化け物に対する人々のパニックやら街の壊され様とか、シチュエーションにも共通する要素は多い。
ローランド・エメリッヒ監督の映画は『インデペンデンス・デイ』『デイ・アフター・トゥモロー『2012』の3本をいずれもDVDで観たことがある(あれ、2012って映画館で観たんだっけ?よく覚えてないや)。なかでも好きなのは『デイ・アフター〜』で、これだけは3〜4度くらい見返している。この『ゴジラ』はまだ1度しか観てないけど、けっこう好きな部類に入るかもしれない。
登場する怪獣があのゴジラとは似ても似つかないのが不評の最大の原因だと思うけど、そこさえ目を瞑ればなかなかよく出来てる映画じゃなかろうか。もっとも、ヒロイン役の言動にはイライラさせられるし、登場人物に感情移入できる余地はあまりないんだけれども。
エメ版ゴジラを観た後に『クローバー〜』とオリジナル版『ゴジラ』を見直してみたが、恐怖の描き方としてエメリッヒ版は決してひけをとらない、と思った。少なくとも同監督の他のディザスター映画よりもかなりまっとうなんじゃなかろうか。さらに言えば『パシフィック・リム』に出てくるKAIJUよりもこちらの怪獣の方が恐ろしく感じる。


人間の力ではどうにもできない未知のなにものかが人類を襲い、その圧倒的な力の前には誰もなすすべがない、という設定がわたしの好みで、それでいくと『クローバー〜』はやはり別格なんだけど、『デイ・アフター〜』や『エメゴジラ』もそれに次いでかなりいい線行ってると思った。圧倒的な絶望を前にした人間、という意味では今日観てきた『GRAVITY』も好みの路線で、しかしそもそもなんで自分がそういうストーリィが好きなのかはよくわからない。自分の中の終末願望みたいなのが描かれる物語が好き、なのかなあ。ほとんどの映画で、主役がちゃっかり生き残るのがいつも不満なのはつまりはそういうことで、その点『クローバー〜』は絶望のまま終わってしまうのがいいんですね。