続編の難しさ

大ヒットしたおふろ映画のパート2。本日封切りの、朝いち初回を観てきた。

海外ロケの成果はすばらしく、画面がいちいちかっこいい。CG処理もたっぷり入ってるんだろうなとは思うが、迫力があってたいへん見応えがあった。
しかしまあ、見どころは主にそのあたりで、脚本といい演出といい、なんだかなあ?と首をかしげるところもいくつか。

前半は原作のエピソード+後半はオリジナル展開、という構成は前作と同じ。途中からバイリンガルに切り替わるという細かなギャグまで前作を踏襲していて、ああ、あえて「同じこと」がやりたかったんだ、と思った。
のだけれども、そこには当然、目新しさはない。主人公たちがタイムリープする際のギミックにしろ、そのとき現れる謎のオペラ歌手にしろ、観客をしてうーん、今度はそう来たか、みたいな楽しさに乏しいのは、娯楽大作としてどうなのか。
演出のテンポもなんだかかみあっていなくて、原作準拠のエピソードが散りばめられた前半などは特に、テレビの連続ドラマを無理矢理つないだ総集編っぽくもあった。要するに、ダレるんですね。
タイムリープした先にいちいちヒロインが偶然居合わすという展開も無理があるし、後半、ヒロインが幽閉される牢に主人公がいとも簡単に会いに行けるというのはいくらなんでも不自然すぎやしないか。そこから逃げ出すシークエンスもあまりに都合良すぎるし。

役者の演技にも違和感が残った。前作のような重々しい演技がなりを潜め、より自然な口調だったりアクションだったりするんだけれども、それで映画がよくなったかというとその逆ではないかと思う。あれ、この役者ってこんなにヘタだったっけ、と違和感が拭えなかった役者さんが幾人か。まあ、前作よりも数倍かっこいいやん、という方もいらっしゃいましたが。



 
続編だからこそ、前作が大ヒットしたからこそ、もっともっと思い切って観客を裏切ってほしかったし、そういう冒険が可能な素材ではあったはず。思えばインディアナ・ジョーンズとかBTTFなんて、そのあたり良くできていたよなあ。なんだか本作は、前作の世界観を壊すまい、大事にしなくちゃ、という意識があまりに強すぎたのか、ただの二番煎じに終わってしまったのが残念だ。
 
ま、映像じたいはかっこいいので今度もブルーレイは買うと思うけど。でも、前作のブルーレイは何度も観ているけど、じつは音声を原作者コメンタリーに替えて、そればかり観ている。だって本編そのものよりもそっちの方が面白いんだもの。今作は、原作者はほとんど撮影現場には現れなかったそうだし、さすがに今度のオーディオコメンタリーには参加しない?と思われるので、ブルーレイを買ってもそう何回も見返すことはないかもしれないなあ。