超高速!参勤交代リターンズ

2016年/本木克英監督作品

2014年に公開された前作『超高速!参勤交代』も観に行ってるが、クライマックスのド派手な大立ち回りが気に入らず、ここで感想文も残していない。肩の凝らない娯楽映画とはいえ、あそこまで無茶な展開にする必要があったのかなあ、などと当時思っていたものだ。

それでなくてもヒット作の続編、しかも、最初から計画されていたわけではなく前作の商業的成功を受けて急遽企画された映画となると、むしろがっかりすることの方が多いんじゃないか。そう思いながら劇場に向かった。

もともと<ハイ・スピードで目的地に向かうハメになった男達の七転八倒>というアイディアの面白さは、ほぼ前作で語り尽くされている。なので今回は、前作の敵役であった老中松平信祝の悪役ぶりを大幅にスケールアップさせている。結果、参勤交代のあれこれは完全にワキに追いやられ、勧善懲悪ものの痛快時代劇に変貌したが、この方向転換は正解だろう。前作で大活躍した面々がふたたび結集し、前作以上の一致団結ぶりを見せる、というだけでちゃんとエンターテインメントになっているのだ。
前作以上にギャグも多く、また殺陣のアクションもかっこいい(控えめながらちゃんと血しぶきも飛ぶ)。絶体絶命のピンチを切り抜ける奇抜なアイディアも楽しい。内藤の殿さまが敵方に取り囲まれる場面がふたつみっつあって、その「逆転勝ちの方法」がいずれも似たような展開だったのだけがいくぶん惜しまれるけれども。
2時間というたっぷりと時間を使う映画なので、テンポは必ずしも早くはない。もっと脚本を刈り込んで90分くらいに収めた方が…とも思ったけれどもどうなんだろう。

ともあれ、娯楽映画として、個人的には前作以上に楽しめた。やっぱチャンバラは楽しいな。