LA LA LAND

2016年米映画/デイミアン・チャゼル監督・脚本

とりあえず、長い(128分)。あと15分くらいはカットできたんじゃなかろうか。
映画館で予告編を何度か観ていたこともあり、だいたいの出来具合は予想していた。まあアカデミー賞だなんだと公開前からメディアやたら騒がしかったので、そもそもさほど期待はしていなかった(…ツイッターにはいかにも期待してるっぽいツイートを流したこともあったけど)。
ダンスシーンでカメラがやたら動くのはまったく自分好みじゃないとはいえ、まあ仕方がないだろう。それは我慢できる。しかし、肝心のダンスがどれもこれもキレがなく、一本調子なのにはほとほとマイった。パンフレットには幾人ものライターが<ダンスが上手すぎないのがいい>という旨のことを書いているが、なにをか況んや。ダンスが下手なミュージカルがイイって? ミュージカルをあまり馬鹿にするんじゃないよ。



往年のMGMミュージカル映画、それもフレッド・アステアが特に好きなもので、ついそういう目線で見てしまうのだが、なるほど、監督もそういう「古き善き黄金時代」を現代に再現したかったんだろうなというのはよくわかる。設定・ストーリーもいわゆる<バックステージもの>に収まるものだし。ミュージカルナンバーのそこかしこに、かつて観た映画を彷彿とさせる絵作りがされているのもいい—といってもわたしはアステア映画の他はジーン・ケリー主演作品をいくつかと、その他は少しくらいしか知らないのであまり大きなことは言えないけど—。
歌、たとえば主人公ふたりのデュエット《CITY OF STARS》やヒロインがオーディションで語る《THE FOOLS WHO DREAM》は素晴らしかった。代役なしで演じたというピアノ演奏シーンもけして悪くない。それだけに、ダンス・ナンバーがもうちょっとピリッとしていればなあ。

物語をほろ苦く終わらせたのもひねりがないと思った。いっそ(それこそRKO時代のアステア=ロジャース映画のように)脳天気なほどのハッピー・エンドにして、とことんファンタジーで終わらせる方が、何周か回ってかえって新鮮だったかも…などと思ったり。

映画館によって客の入りは違うんだろうけど、私が観たハコ(そのシネコンの中でたぶん一番大きなシアター)では1割から2割程度の埋まり具合。封切り最初の週末の、朝イチの回でこの程度である。ま、ロングラン上映はしなさそうかな。