たけくまメモ:「共犯者」としての編集者

前回のエントリに即していえば、ギャラの話をしないならしないでもいいから、その代わり俺と一緒に地獄に堕ちろということですね。地獄に堕ちる覚悟もないのに、中途半端に理解を示されるくらいなら、まだビジネスライクに徹してくださったほうがマシかもしれませんよと。なんか昔と違って中途半端な人が多い気がするんですよ。作家はなおさらですが、編集者も、この世界に飛び込んだからには出世とか老後の心配してちゃダメです。それなら別の仕事に就いたほうがよほど幸せになれますよ。

これ、対人スキルというか、ビジネスに限らず、他人と何ごとかをコラボレーションしたいと思うなら、たぶん、この気構えは必須だと思う。思うに、多分<プロジェクトX>の世界観って、こういう部分にあるのではないだろうか。で、これって、「日本的な」感性なのかどうなのかってことが一番の問題のようにも思う。私自身は外国人と一緒に仕事をした経験が少ないのでなんとも言えないんだけれども、そして、一口にガイジンと言ってもそれこそ千差万別・人それぞれだから一般化はできないんだけれども、「狂気」と「ビジネス」のバランスの取り方が、日本人のそれよりも、上手いのではないかという気はしている。
上記エントリに取り上げられている編集者ほどではないが、「クリエイターと一緒になって狂うことができる会社人」は身近にいた。結局、最終的にはその人もフリーランスの道を選択したから、厳しく言えば「優秀」ではなかったのかもしれない(というか、人生の中で、そういう行動が取れる時期というのは、普通はごく短いのかもしれない)。ともあれ、そんな人と一緒に<狂った>仕事ができたという経験は、私にとってはなにものにも代え難い貴重な財産でもある。私自身は、とてもじゃないができそうにないことだから。