漫棚通信さん、ありがとうございます。

峯島正行の前掲書によると、大学教授としての佐川美代太郎は、「独裁者として、学生にウムをいわせず、気ちがいのように、デッサンとスケッチをやらせ」るという、そうとうにコワい先生だったようです。

リクエストに応えて頂いた…と受け止めていいでしょうか。本当にありがとうございます。


私の手許にはいま4冊の著作があります。古い順に絵本『キツネとつるべ』(1977)、これは仏典「摩訶僧祇律」にある説話をもとにしたもの。対象年齢4〜5歳となってますが、現代だったらもう少し上級生向けかも。
『ぽつんこかっぱ』(1986)はエントリにも書かれていますが、これは原画が本当に美しい。かっぱが夕日を眺めるページなどは燃えるような赤で、印刷物とは印象が違います。
なお、「絵の具を大胆に塗った上から針でひっかいて輪郭線を描いたもの」とお書きですが、私の記憶が正しければたしかパステルを厚塗りされていたと思います。その上に針を使って輪郭線を描くのですが、手法もさりながら、そのペンタッチ(針タッチ?)がいかにも漫画家ならではの描線ではないかと思います。

さらに自分は仏教大学文学部仏教学科の三年生に入学。二年で卒業したのち、さらに仏教大学国文学科に再入学、三年間かけて卒業しました。後年、仏教マンガで日本漫画家協会賞を受賞しています。

これは『ねんげ如来』のことだったと思います。佛教大学季刊誌「鷹陵」に掲載された作品をまとめたもので、1987年に一冊、その後1991年にも出ています。87年版には杉浦幸雄小島功馬場のぼるの各氏がメッセージを寄せています。これは当時佛教大学ギャラリーで出版記念原画展が開かれましたが、色彩の美しさに圧倒されました。作品は、連載初期のころは時事諷刺テーマもありましたが、お地蔵さまを描いたものや山頭火の句をモチーフにしたものなど、「仏心」を幅広く解釈した作品が主流になっていきます。大らかな画風ですが、一枚絵としての構図の見事さ、デフォルメの的確さはやはり「漫画家」としてのそれではないかと見ています。冒頭の引用にもあるとおり、デッサンおよびクロッキーを学生に徹底してやらせただけのことはあります。


その後は京都新聞の宗教欄にカットを寄せておられたのをたまに見かける程度で、教授を定年退官され東京に戻られてからの作品はほとんど知らないのですが、聞くところではますます大胆かつ自在な画風を追求されておられている由。ああ、また拝見したいなあ。


トリビアをひとつ。おーなり由子さんは、かつて精華大学の佐川ゼミに在籍していたことがあります。いや、だからどうって話ではないんですが(^_^;)