テレビアニメにはまる

昨年末だったか、「アニメはほとんど見ない」と書いたことがある。未だにガンダムも知らないし、宮崎アニメですらちゃんと見たのはごく数本だけ(映画館で観たのはもののけ姫だけ、ビデオでラピュタナウシカ紅の豚の三本だけ。あとはうんと昔にTVでトトロを流し見した以外、未見)。他人からすると「アニメとかすごく好きそうに見える」らしいのだが、本人はいたって無知なんである。
そんなわたしが、昨年末に、ふと『四畳半神話体系』のブルーレイディスクを買った。何度か見た。たいへん面白かった。話も良くできているし、絵もステキだった。


で、気が付けば、ふたつのテレビアニメを毎週楽しみにしているようになっている。昨年の今頃あたりと比べると、まるで想像も付かない変化だ。人間なんて一夜でころっと変わるもんだ…てなことはどうでもいいのだが、現在わたしが楽しみにしている番組はともに4月から始まったもので、ひとつは NHK-BS『へうげもの』。全39話という長丁場だ。もともと原作コミックス(現在、アニメとの関係は「原案」となっている)が好きだったのが、アニメそのものにはさほど期待していなかった。本編よりもむしろ最後の5分間にやる「名品名席」なる番組の方が楽しみだった。
第一話から欠かさず録画してきて、ときどき見返すのだけど、回を重ねるごとに少しずつ調子が出てきたように思う。来週から後半が再開するが、このままラストまで突っ走っていってほしい。
もうひとつは『日常』(全国のU局で放映)。こちらはあらかじめ原作も知らなかったし放送開始後しばらくはまったく関心の外だったのだけど、ネットでの評判をきいてニコニコ動画の日曜更新を見始めたのが6、7話あたりだったかな。当初しばらくはネット配信をただ見てるだけで満足していたんだけど、途中からどんどんはまっていき、とりあえず原作本(今のところ6巻まで)を購入。さらに、ひじょーに遅ればせながらなんだけど、先々週あたりからテレビ放送の録画も始めた。ずっとネットの粗い映像で親しんでいたものだから、テレビ画面の高精細には文字通り目を見張った。
この作品を作っているのは「京都アニメーション」という地元の制作会社で、会社の場所は知っていたけど作品は見たことがなかった(けいおん!とかも観たことがない)のだけど、『日常』を見てたいへん丁寧な作品をつくるところだなあ、と感心してしまった。カバンを開ける、靴を履く、といったごく普通のさりげない動作がきちんとアニメーションとして動いていて、見ていてきゅんとする。ディテールの積み重ねって大事だよなあ、と、この作品を見ているとしみじみと思う。
それでいて、作品そのものはナンセンスで暴力的なギャグもの(ばかりでもないんだけど、全体的にはそんな印象)なので、そのギャップがたまらない。そうかと思えば、たとえばエレベーターに閉じ込められた話だとか、トランプタワーを組んでる話だとかで、実験的な演出もいろいろ試みているのがすばらしい。好き勝手にやっているようで、これはあらかじめかなり綿密に計算された作品のように思うんだけど、どうなんだろう。他のアニメ作品ってのをまるで知らないので、以上が正しい評価かどうかすらわからない。
ともあれ、こちらは最終回がどうなるかが全く予想できないだけに、とても楽しみ。個人的には全登場人物が絡むオリジナル・ストーリーでしめくくってもらいたいなあ。