久しぶりにCD買った

何気に入った路面店CDショップで、久しぶりにCDを購入。ライブ会場で手売りのアルバムを買うことはあったけど、専門店で買うのっていつ以来だろ。
買ったのはUKのNASCENTEというレーベルの「Beginner's Guide To」という3枚組コンピレーション。3枚組だけど1,300円という廉価盤で、いわゆるワールド系の編集盤。アイルランドスカンジナビアなど国や地域別に、トラッド系音源を集めている。わたしが買ったのはそのうちのSCOTLANDとFADO。これから聴くところなのでまだなんともだけど、気に入れば他のシリーズも買ってみようかな。
廉価盤でもあり収録されている個々の楽曲について詳しい解説が付いているわけでもない。安く仕入れられる音源で適当にまとめられたコンピレーションだとみなすことも可能だろうし、実際、ユーチューブはじめ合法・違法にこだわらなければ同等の音源をネット上で無料で収集することもおそらく可能だろう。それでもわたしがこのCDを買ったのは、ひとつには編集の意図がそれなりに感じられたこと、そしてもうひとつは、なんだかんだ言ってもやはり手に取れる商品として「パッケージ」されていることが大きい。
「編集の意図」とは、たとえばファド編では、3枚のCDを「クラシック・ファド」「ファド・フュージョン」「ファド・ナウ」というサブタイトルでくくっていて、ファドの過去から現在までを一望できるのではないか、と思わせたこと。店頭でサンプルを聴いて購入を決めたわけではなく、単にケースの外側の文字を読んだだけなのだが。もうひとつのスコットランド編の方は、わたしが単にスコットランド好きなので収録曲もろくに吟味しないでレジに持って行った。他のアルバムも迷ったんだけど、アイルランド編は今さらだしなあ、と思い今回は見送り。スカンジナビア編は、3枚のうちトラッド系は1枚だけだったかな。他はポップスやロックが入っているようだったのでとりあえずパス。ま、今日買ったのを聴いて気に入ったらまたあらためてチェックしてみよう。
 
こういう廉価コンピ盤のたぐいはなにもこれが最初というわけではなく、90年代末期のワールドミュージックブームが華やかだったころにはもっと多種多様なアルバムが出ていた。海外レーベルの日本盤にとどまらず、日本オリジナル編集盤もかなり出ていたと記憶する。ブームの終了、というか音楽CDじたいが売れなくなってからは、その手のアルバムもさっぱり見なくなったと思う(なにより自分自身、CDショップにはまったく足を運ばなくなったのでその間の事情には疎いのだが)。
 
最新の楽曲でなくていいから、手軽な入門編としての編集アルバムが欲しい、という需要がなくなることはないだろう。先にも書いたようにネットの大海を丹念にスクロールしていけば、同等かあるいはそれ以上の音源に出会えることとは思うが、それはとても面倒な作業でもある。本シリーズには編集者の名前もクレジットされていて、といっても誰だそれっていうレベルなんだけど、たとえ聞いたことのない名前でも「ある個人の名においてコンピレーションされたアルバム」という意味はけして小さくない。それなりに首尾一貫したコンセプトが、そこには存在しているはずだ、と期待させるからだ。たとえその実情が、新聞広告によく載っている通販限定の「昭和歌謡名曲全集」だとか「ムードミュージック大全集」みたいなお手軽コンピ盤と大差ないものだとしても。
少なくとも、きちんとした編集さえなされていれば、その編集方針がたとえ自分の好みに合致していなくとも、それは対価を支払うにふさわしい商品であると言っていい。今日買ってきたアルバムが、失望させるものではないことを祈りつつ…さて、どっちから聴き始めようか。

【追記】
レーベルのウェブサイトに行ってみた。同じ会社は別レーベルでも同じような「古い音源大量一括パッケージCD」をたくさんリリースしていて、NASCENTEはそのうちのワールドミュージック系担当らしい。ていうか今気付いたんだけど、このレーベル名はノンサッチを意識してるのか。
こういう、リーズナブルな「お手軽まとめ系」はこれからも細々とではあっても生き延びるんだろうなあ。ネットや海外通販がない時代にも貴重だったが、こんだけネットが普及した今でも、いやあるいはネット全盛時代だからこそ、こういう編集ものって重宝がられるような。
これに各種情報がリンクできりゃもっとかっちょいいけど(たとえば気に入ったミュージシャンの公式サイトにジャンプできるとか、Wikipediaに飛ぶとか)、そこまで求めるならパッケージではなくオンライン配信形式の方が向いてるんだろうなあ。