マンガが描く学生時代

漫棚通信ブログ版:大学漫画物語

最近、大学マンガが増えてきてませんか。「もやしもん」と「げんしけん」を連続して読んだからそう思うのかしら。「もやしもん」が農業大学。「げんしけん」が大学のオタク部。文系の学部かな? 「ハチミツとクローバー」が美大。「のだめカンタービレ」が音大。どれも知らない世界で、しかも大学生という、まだ何者にもなっていない連中の話だから、基本的にお気楽で楽しい。

 
エントリの話題とはあまり関係のない話になると思うので、コメントもTBもせずにこちらで独り言。
 
かつて少女漫画には「ギムナジウムもの」がありましたねぇ。極東の庶民のガキにとってみりゃ「遠い異世界」であって、いまどきマンガの「大学」のような、身近な生活の舞台とは正反対の設定なんですが。
で、その手のマンガが流行っていた時代ってまだまだ「大学生がマンガを読んでる」こと自体がニュースになりかねないような頃であって、読者の中心層はもっと低年齢だったはず。学生生活を舞台にするにしても、中学校あたりがいちばん多かったんじゃないでしょうか。
 
たとえば「エースをねらえ!」(主に高校が舞台、主人公はのちに短大生に)では、たしか藤堂先輩のいる大学祭に遊びに行くってエピソードがあったと記憶してます。その大学祭は、それはそれはすんげえ「オトナの世界」として描かれていたはず。かくいう私は、この連載を読んでいた小・中学生の頃、主人公の通っていた西高の文化祭でさえ、そうとうオトナっぽく感じてました。
精神年齢では、今のマンガの大学生とあの頃の高校生と、どっちが上なんでしょうね。ま、岡ひろみをとりまく人々はすべて「超高校級」な方々ばっかりだったわけですけど(笑)。
 
 
同じく小学生のころに読んだ少女マンガで、作者も題名もまったく忘れてしまいましたが、「高校に入ったら履修科目が選択できるっ」と喜ぶ主人公がいまして、「ぜったい古典落語をとるんだっ」と誓っているシーンがありました。私、高校生になったら授業で落語が習えるんだと信じ切ってしまい、数年後に無事高校生になったとき、カリキュラムのどこを探しても落語がなかったものでひどく落胆したことを覚えています(笑)。あとから姉に「なんで落語ないのん」って愚痴ったら思いっきり笑われた。そりゃそうだ。
 
 
と、ここで大学生マンガをひとつ思い出した。短編ですけど、80年代なかばでしたっけ、吉田秋生美大生を描いた連作がありましたねえ。初期の単行本『夢見る頃を過ぎても』か『十三夜荘奇談』あたりに収録されてなかったっけ。美大出身生としては、あれは切なくもほろ苦いリアリティがありましたねぇ。デッサンのモデルがひでー○○だったとか、爆笑ものでした。